ベアリング豆知識 -基本定格寿命と基本動定格荷重・基本静定格荷重-
今回は、基本定格寿命と基本動定格荷重・基本静定格荷重について詳しくご説明したいと思います。
ベアリング(軸受)は、回転をしている時に、内外輪の軌道輪と軌道面が常に繰り返し荷重を受けています。その為、回転をさせていると材料が疲れ、破損(ころがり疲れによるはく離(フレーキング))という現象が起こります。
同じ工場の同じ工程で同じ形状のベアリング(軸受)を大量に製造した場合、同一条件で回転をさせても破損が発生する時間には大きなばらつきが出ます。
ベアリング(軸受)を同一条件で回転させたとき、90%が破損(ころがり疲れによりはく離(フレーキング))を発生せずに回転できる総回転数を「基本定格寿命」といいます。
そして、100万回転の基本定格寿命が得られる荷重を「基本動定格荷重」といいます。
すなわち「基本動定格荷重」は、ベアリング(軸受)の”動的”な負荷能力を表しています。
「基本動定格荷重」は、「Cr」または「Ca」で表示され、カタログでご覧になられた方も多いのではないかと思います。
「Cr」は、ラジアル軸受けの場合に使用され、「Ca」はスラスト軸受の場合に使用されます。
また、ベアリング(軸受)は、大きな静荷重を受ける事で軌道面と転動体の接触面に局部的な永久変形を生じ、大きな音響や振動の原因となります。この変形量が大きくなりすぎると回転がスムーズにいかなくなります。許容できる”静止荷重”の基準として「基本静定格荷重」を定めています。
すなわち、最大荷重を受けている接触部中央で、転動体と軌道の永久変形量の和が、転動体の直径の 0.0001倍になるような方向と大きさが一定の静止荷重を「基本静定格荷重」といい、最大荷重を受けている転動体と軌道との接触部中央において、下記の計算接触応力に対応する静荷重と定義されています。
自動調心玉軸受 : 4600Mpa
その他の玉軸受 : 4200Mpa
ころ軸受 : 4000Mpa
「基本静定格荷重」は、ラジアル軸受けでは「Cor」、スラスト軸受では「Coa」と表示されており、こちらもカタログなどでご覧になられる事が多いのではないかと思います。
今回は、「基本定格寿命」「基本動定格荷重」「基本静定格荷重」について説明をさせて頂きました。
ベアリング(軸受)のカタログなどを見ていると、今回ご紹介した「Cr」「Ca」「Cor」「Coa」といった表示を見る事があると思います。
難しいと感じたり、分かりにくい点があったりするかと思いますが、このコラムが皆さんのお役に立つ事ができれば嬉しく思います。
CHIYOBEAが展開する特殊環境軸受(セラミックベアリング・樹脂ベアリング)は、材質の組み合わせにより「基本動定格荷重」「基本静定格荷重」が異なります。その都度お問い合わせを頂ければ回答をさせて頂きますので、よろしくお願いします。